ご覧頂きありがとうございます。

当ブログは、相続・事業承継FPの管理者が、相続や事業承継に関する気づきや役立つ情報を投稿しています。

今回は、2018年民法(相続法)改正と同時に公布された「遺言書保管法」(2020年7月10日施行予定)の条文を確認するシリーズの続きです。


bizz2girl20160902392216_TP_V





自筆証書遺言の普及を目的に制定された「遺言書保管法」ですが、いったい条文にはどのような事が定められているのでしょうか。


第9条 遺言書情報証明書の交付等

gori0I9A3048072102408_TP_V





今回は第9条(遺言書情報証明書の交付等)です。早速条文を確認します。


(遺言書情報証明書の交付等)

第九条

 次に掲げる者(以下この条において「関係相続人等という。)は、遺言書保管官に対し、遺言書保管所に保管されている遺言書その遺言者が死亡している場合に限る。)について、遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面(第五項及び第十二条第一項第三号において「遺言書情報証明書」という。)の交付を請求することができる。

一 当該遺言書の保管を申請した遺言者の相続人(民法第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者及び相続の放棄をした者を含む。以下この条において同じ。)

二 前号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者又はその相続人(ロに規定する母の相続人の場合にあっては、ロに規定する胎内に在る子に限る。)

イ 第四条第四項第三号イに掲げる者 (※「受遺者」・・・投稿者挿入)

ロ 民法第七百八十一条第二項の規定により認知するものとされた子(胎内に在る子にあっては、その母)

ハ 民法第八百九十三条の規定により廃除する意思を表示された推定相続人(同法第八百九十二条に規定する推定相続人をいう。以下このハにおいて同じ。)又は同法第八百九十四条第二項において準用する同法第八百九十三条の規定により廃除を取り消す意思を表示された推定相続人

ニ 民法第八百九十七条第一項ただし書の規定により指定された祖先の()を主宰すべき者

ホ 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第十七条の五第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者又は地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第三十七条第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者


ヘ 信託法(平成十八年法律第百八号)第三条第二号に掲げる方法によってがされた場合においてその受益者となるべき者として指定された者若しくは残余財産の帰属すべき者となるべき者として指定された者又は同法第八十九条第二項の規定による受益者指定権等の行使により受益者となるべき者

ト 保険法(平成二十年法律第五十六号)第四十四条第一項又は第七十三条第一項の規定による保険金受取人の変更により保険金受取人となるべき者

チ イからトまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者

三 前二号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者

イ 第四条第四項第三号ロに掲げる者

ロ 民法第八百三十条第一項の財産について指定された管理者

ハ 民法第八百三十九条第一項の規定により指定された未成年後見人又は同法第八百四十八条の規定により指定された未成年後見監督人

ニ 民法第九百二条第一項の規定により共同相続人の相続分を定めることを委託された第三者、同法第九百八条の規定により遺産の分割の方法を定めることを委託された第三者又は同法第千六条第一項の規定により遺言執行者の指定を委託された第三者

ホ 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第七十五条第二項の規定により同条第一項の登録について指定を受けた者又は同法第百十六条第三項の規定により同条第一項の請求について指定を受けた者

ヘ 信託法第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合においてその受託者となるべき者、信託管理人となるべき者、信託監督人となるべき者又は受益者代理人となるべき者として指定された者

ト イからヘまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者

2 前項の請求は、己が関係相続人等に該当する遺言書(以下この条及び次条第一項において「関係遺言書」という。)を現に保管する遺言書保管所以外の遺言書保管所の遺言書保管官に対してもすることができる。

3 関係相続人等は、関係遺言書を保管する遺言書保管所の遺言書保管官に対し、当該関係遺言書の閲覧を請求することができる

4 第一項又は前項の請求をしようとする者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。

5 遺言書保管官は、第一項の請求により遺言書情報証明書を交付し又は第三項の請求により関係遺言書の閲覧をさせたときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該関係遺言書を保管している旨を遺言者の相続人並びに当該関係遺言書に係る第四条第四項第三号イ及びロに掲げる者に通知するものとする。ただし、それらの者が既にこれを知っているときは、この限りでない。





前記が条文内容です。

この第9条は、相続発生後ついて、「遺言書情報証明書の請求」と「遺言書原本の閲覧」は、誰が請求できるのか、どこで請求できるのか、等について定めています。


今回の第9条は大変長い条文です。但しこれは例示が多いためで、全5項の概略は次の通りです。

第1項 遺言者が死亡した場合、「関係相続人等」は「遺言書情報証明書」の交付を請求できる

第2項 当該「遺言書情報証明書」は全国どこの「遺言書保管所(法務局)」でも請求できる

第3項 また「関係相続人等」は、当該遺言書を保管している「遺言書保管所」に原本閲覧を請求できる

第4項 当該手続きには、法務省令で定める様式に添付書類を添付して請求する

第5項 遺言書保管官は、1項3項の請求後、速やかに、相続人、遺言執行者等に通知する


もう少し、中身を見ていきます。

「遺言書情報証明書」の交付は誰が請求できるのか?


gahag-0066691711-1


第9条第1項では、「遺言書情報証明書」は誰がいつ請求できるのかについて定めています。

まず「遺言書情報証明書」は、遺言者の死亡後しか請求する事ができません

これは次の第10条で出てくる「遺言書保管事実証明」も同様であり、遺言者の生存中は、遺言書保管の有無の確認、保管証明等の請求はできません。

そして、「遺言書情報証明書」を請求できるのは、「関係相続人等」と定めています。

この「関係相続人等」の内容説明のため条文が大変長くなっており、別途政令に委ねる部分もあります。

結論としては多くの利害関係者が請求できる事となっています。

相続人は当然ですが、この中には、相続権のない相続欠格者や廃除者も含むと明示されています。

この他、相続人以外の受遺者や遺言執行者、信託における受益者等が定められています。


「遺言書情報証明書」の交付はどこで請求できるのか?

HIGA62_notepen_TP_V


第2項では、「遺言書情報証明書」はどこで請求できるのか?について定めています。

条文では、保管している遺言書保管所以外の遺言書保管所でも請求できる旨が記載されています。

簡単に言えば、「全国約300ある どこの法務局でも請求可能」という事になります。


これは別途条文の「検認不要」との合わせ技で大変便利なもので、この法令自身の目玉であり、相続手続きをスムーズにする中核部分とも言える部分です。

相続人や遺言執行者は、わざわざ遺言書原本が保管されている法務局に足を運ばなくても、家庭裁判所に検認の申請をしなくても相続手続きに着手できる訳で大変利便性が高まります。





「遺言書原本」の閲覧は、誰がどこでできるのか?


gahag-0112135036-1


次に第3項では、「関係相続人等」が遺言者の死亡後、保管遺言書原本の閲覧を請求できる旨を定めています。

但し、これは対象が遺言書原本であるため、当該遺言書が保管されている遺言書保管所(法務局)に訪問し請求する事となります

しかし、この原本閲覧請求の手続きは、通常の相続手続きでは不要な手続きであり、基本的に利用される事は少ないと考えられます。

故人が書いた原本がどうしても見たい場合や係争状態の場合等に利用されるものと考えられます。


「通知」は誰が誰に対して行うのか?

YUKA150701098458_TP_V





第5項は、遺言執行者が行なう通知について定めています。

具体的には、第1項(遺言書情報証明書)、第3項(遺言書原本閲覧)の申請があった場合、遺言書を保管している法務局の遺言書保管官は、相続人や受遺者、遺言執行者に、遺言書を保管している旨の通知を速やかに行うとされています。


この手続きですべての相続人、受遺者、遺言執行者が当該相続発生を知る事ができる仕組みになっています。



ここまで読んでみると、この手続きは、実はある意味で家庭裁判所に対する検認申請と変わらない事がわかります。

「遺言書情報証明書」請求の添付書類にも、すべての相続人や受遺者を証明する書類添付が必要なはずであり、検認申請時の添付書類と同等の書類が必要と考えられます。

おわりに

DSC_0017





今回の第9条は「遺言書情報証明書」の請求等についての条文で、「関係相続人等は相続発生後、全国の法務局で遺言書情報証明書を請求できる」というものでした。

申請書類は不要となる家庭裁判所の検認手続きと同等の添付書類が必要と考えられますが、各自が自身の居住地等に近い法務局で手続き可能な点は利便性が高いものと思います。

こうなってくると「公正証書遺言」の存在意義が薄れてくるのではないかとも考えられます。

施行間近のこの時期、公正証書遺言を作成しようと考えておられる方は、一旦自己保管で自筆証書遺言を作成しておいて施行後に再検討されるのも良いのではないでしょうか?



今回は以上です。


IMG_8237ISUMI_TP_V







今回も最後まで読んで頂きありがとうございました😊。

北河内 学

相続関連データの投稿です↓