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今回は、2018年民法(相続法)改正と同時に公布された「遺言書保管法」(2020年7月10日施行予定)の条文を確認するシリーズの続きです。

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自筆証書遺言の普及を目的に制定された「遺言書保管法」ですが、いったい条文にはどのような事が定められているのでしょうか。

第6条(遺言書の保管等) の条文構成

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さて今回は「第6条 遺言書のむ保管等」です。早速条文を確認します。


(遺言書の保管等)

第六条 遺言書の保管は、遺言書保管官が遺言書保管所の施設内において行う。

2 遺言者、その申請に係る遺言書が保管されている遺言書保管所(第四項及び第八条において「特定遺言書保管所」という。)の遺言書保管官に対し、いつでも当該遺言書の閲覧を請求することができる。


3 前項の請求をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。

4 遺言者が第二項の請求をするときは、特定遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。この場合においては、前条の規定を準用する。

5 遺言書保管官は、第一項の規定による遺言書の保管をする場合において、遺言者の死亡の日(遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、これに相当する日として政令で定める日)から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間が経過した後は、これを廃棄することができる


第6条は少し長めの構成です。

但し、それほど複雑な事を定めているものではなく、第1項は「保管場所はどこか?」、第2項は「誰がどこで閲覧できるのか?」、第3項は「閲覧方法は?」、第4項は「誰が行くのか?」、第5項は「いつまで保管するのか?」を定めています。

第一項 遺言書保管法における自筆証書遺言の保管場所

第二項 保管遺言書の閲覧可能者・閲覧場所

第三項 保管遺言書閲覧の請求手続き

第四項 閲覧時の本人出頭

第五項 遺言書の保管期間


遺言書はどこで保管されるのか?

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自筆証書遺言の保管申請ができるのは、法務大臣が指定する法務局である「遺言書保管所」でした。

そして、各個人が遺言書保管申請できるのは、住所地、本籍地、不動産所有地を管轄する「遺言書保管所」でした。

今回の第6条第1項及び第2項の一部で「特定遺言書保管所」("特定"は遺言書が保管されているの意味と解釈できます)の施設内で保管するとされています。

単純には申請した「遺言書保管所」に原本保管されるように考えられます。

但し、条文は少し曖昧な表現になっており、原本保管をする「遺言書保管所」を集約できるようにも解釈できる記述となっています。

誰が閲覧請求できるのか?

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続いて第二項では、遺言者が存命中の当該遺言書の閲覧請求可能者について定めています。

条文では、「遺言者は・・・請求できる」と記述されており、反対解釈で「遺言者本人以外は閲覧できない」となります。


つまり、遺言者存命中は、たとえ相続人予定者であっても、保管中の遺言書の閲覧はできないという事になります。

代理人が出頭できるのか?

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第四項では、保管遺言書の閲覧時に本人出頭を定めています。これは保管申請時と同じです。


いつまで保管してくれるのか?

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第五項では、保管期間について定めています。


具体的な条文記述は、廃棄可能となる条件を定めており

遺言者が死亡後、「紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間が経過した後は、これを廃棄することができる。」となっています。

遺言者死亡後どれくらいの期間保管されるのかは、今後の政令待ちです

「戸籍法施行規則」第5条第4項に定められている「戸籍の除籍簿の保存期間=150年」等も参考に決定されるようです。


今回は以上です。


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今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

北河内 学


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